ワーク・ライフ・バランス推進のポイント

再雇用制度の充実が急がれます

一つ目の柱は、ワーク(仕事)の制御・支援・基盤となる仕組みです。ワーク・ライフ・バランスの推進にあたっては、働きすぎを抑えるための施策から着手します。具体的には、長時間労働の是正、残業の削減、年次有給休暇の取得促進が代表的です。

また、仕事を支援する仕組みも重要です。働き続けたい人が、自分の年齢や状況に応じて、もう一度適切な給料で無理なく働くことができる再雇用制度は今後の社会において非常に重要な施策です。

そして、役割と成果に応じた公正な処遇や自立的なキャリア開発を促進する個のマネジメントは、ワーク・ライフ・バランスの基盤となる重要なインフラとなります。

二つ目の柱は、ライフ(生活)を支援する仕組みです。人によって価値観が異なるため、会社が個人の生活を支援する必要はないのではないか、という意見もありますが、ワーク・ライフ・バランス=女性、子育てという誤解を払拭するためには、包括的な施策を整備することが有効です。

ワーク・ライフ・バランスとは、従来の子育て支援、両立支援を包含する広い概念であり、対象はその企業で働く全員だからです。従来の①育児・介護支援に加え、②能力開発支援、③地域・社会活動支援、④健康管理支援、などの施策を導入することで、全社員を対象としたワーク・ライフ・バランスを進めることができます。

三つ目の柱は、ワークとライフのバランスをうまくとるために、従来とは異なる新しい働き方を支援する仕組みです。多様な働き方とは、①時間、②場所、③雇用形態、の多様性です。時間の多様性に関しては、短時間勤務制度やフレックスタイムが代表的です。場所に関しては、オフィス以外での勤務を柔軟に認める在宅勤務やテレワークが普及してきました。

また、こうした多様な働き方への以降や職場復帰が可逆的にできることが重要です。「ある時期は在宅勤務を行い、しばらくしてオフィス勤務に戻る」「ある時期は短時間で働き、またフルタイムに戻る」ということができることが重要なポイントとなります。