裁量労働制や在宅勤務など「労働時間」に配慮する制度も必要です

労働基準法で様々な休暇が定められています

ワーク・ライフ・バランス(以下WLB)の推進にあたっては、年次有給休暇をはじめ、産前・産後、育児、介護、看護などの各種の休業制度だけでなく、裁量労働制、フレックスタイム、在宅勤務、短時間勤務などの「労働時間」に配慮した各種制度の充実させて、社員の多様なニーズに応えることが重要となります。

また、これらの制度を導入しても、仕事を続けることが困難なために退職を余儀なくされる社員も出てきますが、退職した社員をサイド雇用する制度を導入することもあわせて検討しておきましょう。

新しい制度を立案・導入したら、今度は社内報やパンフレット、ホームページなどの媒体を通じて、制度を社員に対して広く周知することが大切です。

制度の利用を促進するためには、「みんなが忙しいなか、自分だけが個人的な理由で休業するのは気が引ける」といった周囲への遠慮が制度を利用するうえでの妨げにならないように、「WLBの導入は特定の人のためではなく、社員全員のためにある」という理解の促進、「いつかは自分がお世話になるから、お互い様」という考え方の醸成が必要です。

そして、誰もが必要になったときに制度を進んで利用できる環境を作るためには、日頃から一人ひとりが生産性を向上させることと、チームとして職場が機能する必要があります。

また、制度の利用者が出たときの対応も重要なポイントとなります。短時間勤務者・在宅勤務者・休業者などの多様な働き方を実現するためには、制度の利用が会社全体に恩恵をもたらし、利用者本人にとっても能力の維持や向上につながる仕組みが必要です。

制度利用者への対応として、休業者の職場復帰支援プログラムや在宅勤務制度の導入があります。職場復帰支援プログラムは、大学などの教育機関や自治体、コンサルティング会社が提供しているサービスで、パソコン、ビジネス、マネジメントなどのビジネススキル講座、育児や職場復帰に役立つ情報、休業者同士あるいは上司との情報交換できるサービスなどを講習会やe-ラーニングで提供する仕組みです。休業中も職場との距離感や孤立感を感じることなく、能力をブラッシュアップできると好評のサービスです。

在宅勤務制度も、休業を終えた後、短時間勤務と合わせて、週に何日か利用すると本人の負担を軽減しながら、スムーズに通常勤務に戻ることができるでしょう。在宅勤務には基本的に毎日自宅で勤務する「常時型」と月に数日だけ自宅で勤務する「随時型」がありますが、随時型は経営トップ医から、若い社員まで全員が活用できるとても有効なWLBの施策です。

管理職には、日頃から休業や短時間勤務の発生を想定して部署を運営する能力が求められます。全員の業務スケジュールを共有できるように、グループウェアを利用したり、部署ミーティングを活用すると有効です。また、先輩社員による後輩社員への個別サポート(メンター制度)する企業風土を育てることもカギとなります。