家庭と仕事の両立支援を推進する企業の人事戦略

社員のコミットメントを高める狙いも

両立支援に取り組む企業のタイプは人事戦略の観点から、以下のように分類することができます。

タイプ1 社員のキャリア開発を支援する…近年、企業が行なう研修は必要最小限にとどめ、社員自らのキャリアビジョンの設計と実現を支援するという傾向が強まりつつあります。継続的にキャリアを積み上げていくためには、子育て・介護などの家庭責任と衝突することなく希望するキャリアビジョンを実現できる環境整備が必要となります。

したがって、キャリア開発支援を積極的に行なう企業は、社員が有するそれぞれのキャリアビジョンの実現に向け、両立支援策を導入し支援する傾向が強くなると考えられます。

タイプ2 長期雇用の維持を重視する…社員が1つの企業に長く勤務することにより、企業独自の仕事の進め方やルールを理解し、社内におけるネットワークも構築さえるため、中途採用で同程度の能力を持つ人材を新たに確保するよりも業務効率が高いと考える企業は少なくありません。社員を一人前に育成するために企業は多大な時間と費用を投じるため、無事に一人前になった社員にその知識と技術を発揮してもらい投資コストを回収しようと考え、社員の長期雇用を促進する施策を展開する可能性があります。

両立支援策はこの長期雇用の維持を可能とするための手段の一つとなります。上記のタイプ1との違いは、タイプ1が個人の考え方を会社ができる限りサポートしようと、「個」の価値観を尊重し組織として協力できる点を模索しているのに対し、タイプ2は企業内部の労働市場の強化を目的に社員の教育・育成に積極的に取り組んでいる点にあります。

タイプ3 女性の活躍を支援する…女性の活躍の場を拡大するためには、男女の雇用機会の均等つまり均等施策に加え、同時に仕事の継続と子育てなど生活との両立を可能とする両立支援策の両方が必要となります。この2つの施策は車の両輪の関係であり、どちらが欠けてもいけません。

例えば、均等施策が充実しているため、男女の職域分離が泣く女性の管理職は多いものの、両立支援策が不十分だと、結婚や出産さらには子育てなどを契機に仕事を辞めざるを得ないケースに直面する女性や、仕事を継続するために結婚や出産をあきらめざるを得ない女性が多くなってしまいます。一方、両立支援策により、結婚や出産、育児などに直面しても仕事の継続が可能でも、均等施策が不十分だと、女性の職域や昇進機会が制限されることになり、その能力を十分に活用できないことになります。

男女均等策に積極的に取り組み、女性の活用を推進する企業ほど、戦力化した女性社員が出産・子育てなどのライフイベントと仕事とのコンフリクトを感じることなく、相補うを両立したキャリアを継続できるよう、両立支援策を導入する傾向にあると考えられます。

タイプ4 通常の労働時間が適正化に取り組む…総務省による「労働力調査」によると、男性の30歳代後半から40歳代にかけて長時間労働の傾向が強くなっています。個の年齢層は企業で重要な役割を担うと同時に、家庭では子育てや介護などの家庭的責任も果たさなければならないため、仕事とそれ以外の生活の両立が最も難しい世代といえます。

仕事と家庭を両立させるために重要なのは、多様な働き方を導入するだけではなく、毎日の労働時間が適性であるよう残業削減に取り組んだり、年次有給休暇の取得促進に取り組むことも重要となります。こうした点を認識している企業では、両立支援策の実施に積極的に取り組むと考えられます。

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